ボクらの太陽 Another・Children・Encounter24「嘆きのロザリオ」
全てを操り、導く月の力。 慈愛と狂気を持つ月の力。 だからこそ、その心は常に不安定で、さ迷う。 月光仔の一族は、迷いの一族。 寒い。 それが一番の感想――そういう風に思いたくないが――だった。 寒くて、…
ボクタイ長編9
ボクらの太陽 Another・Children・Encounter23「コンシャスネス」
ブリュンヒルデもイモータルだ。だから、太陽の光には弱い。 そのため、かつて伯爵が利用した方法――太陽樹からエネルギーを得る事で、何とかその太陽の光をしのいでいる。簡易方法なので、完全にシャットアウトというわけではないが。 今、空は雲ひとつ…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter22「ネバーダイ」
気がつくと、サバタは月の楽園にいた。「馬鹿な!?」 つい言葉になって出てしまう。あの後、なんとか体からわきあがる何かを抑えてゆっくり眠ったはずだ。暗黒転移を使った覚えはない。 ヴァナルガンドに操られる前のあの夢とは違い、今は確…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter21「もう一度、エンカウント」
オヴォミナムが去ってから、もう一時間は経つ。 当然、逃げ出さないようにと監視は付けられ、シャレルは逃げたくても逃げ出せない状況下にあった。 それでも人間の本能と言うのはあなどれないもので、こんな状況でも睡魔はきちんと彼女の精神を蝕み、器用…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter20「I need you…」
かすかに空気が動く音で、眼が覚めた。「ん、んん……」 目をこすろうとしたが、手首が鈍く痛むだけで手は全然動かない。一体どうなってるんだと思いながら目を開けると、見慣れない景色が広がっていた。「え!? ええ!?」 慌てて回りを確認しようとす…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter19「独占欲」
晩御飯の間、サバタはずっと湧き上がる何かと戦っていた。 この感じは、ヴァナルガンドに捕らわれた時と似ている。だがそれよりも深く、抵抗のできない何かだった。 ジャンゴに余計な心配をかけさせたくないためにずっと黙っていたが、そろそろ限界な気が…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter18「滲み出るこころ」
『保険』が引っかかったと聞き、オヴォミナムは急いでその場所に行った。 本当なら、器を完成させるために心当たりのある場所へと行くつもりだったのだが、『保険』の方も大事なのでそっちの方へと急ぐ。 使い魔でもある吸血人形の報告通りに大聖堂の地下へ…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter17「全てを手に入れるために」
「器はまずまず…ではダメなんだよ!」 オヴォミナムの怒声が塔に響く。同時に連れてこられた少女の脅えた顔が彼の魔力を受けて破裂し、グロテスクな肉塊へと変わる。 螺旋の塔の中枢部に作られた彼の部屋は、そういった少女たちだったモノの骸で溢れかえっ…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter16「ターゲッティング」
貴女を最初に見たとき、感じたのは強い光だった。 強烈な光は視力を奪うというが、それでも自分は目を離すことができなかった。 太陽は、自分にとっては忌むべきモノのはずなのに。 自分にとって、彼女はまぎれもなく太陽そのものの筈なのに。 何故、目…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter15「迷い子」
かえりたい、もとのからだに。 かえれない、もとのからだに。 かりそめの身体にかりそめの魂。 自分全てが、幻そのもの。 それなら この胸の中にある掴めない物は何なのだろう。 「何者だ、貴様!」 当然のことな…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter14「ロスト・エッセンス」
メナソルは浄化された。 復活した死の都は、彼の消滅によってまた無害な物へと戻っていく。太陽樹があのままなのが少しだけ気がかりだが、今すぐに対策を立てなくてはいけないものではない。 シャレルはレビと合流して、今後の事を話し合うことにした。&…
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ボクらの太陽 Another・Children・Encounter13「召集」
「こうなる事は、何となく分かっていたんですよ……」 メナソルがぼそりと呟く。 太陽の光と霊力にやられたせいであちこちがぼろぼろに風化し、もう話すことすら辛いはずなのに、それでも彼は口を開いて話し出す。 目の前に自分を滅ぼした少女がいることに…
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