Change Your Way・31「精霊王」
飛天王カリフスは、声の主の名前を呟いた。「運命王…」『我がクストース、全てが不安定な状況である以上失敗は許されぬ。深海王はもうその身を我らのために投げ出したぞ』 棘のある自分の主の言葉に飛天王は深々と頭を下げるが、その姿は許しを請うもので…
ボクタイ長編7
Change Your Way・30「再戦」
飛んだ先は、洞穴の手前だった。「うにゃっ!!」 着地に失敗して派手に落ちるザジ。腰を大きく打ちつけたが、起き上がれないほどのダメージではなかった。手に持っていたケーリュイケオンも無事だ。 腰を何回か叩いて起き上がると、何故か荒れた風が吹く…
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Change Your Way・29「声と、意思と」
クストースの聖地。 そこで祭られていた生贄神の水晶像がきらりと光った。「!」 ずっと椅子に座っていた運命王が立ち上がって、真上にある像を見やる。普段は光を遮らないように闇にまぎれている像だが、「対話」せずに光るのは珍しかった。 慌てて跪い…
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Change Your Way・28「鳥の色」
「その人、引き止められなかったの?」 ユキの質問にジャンゴは苦笑する。引き止めるも何も、あの時相手は意識を失っていた。 ジャンゴに余力がまだあったなら意識が戻るまで待てたかもしれないが、自分も倒れてしまったのでそれもできなかった。 それに、…
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Change Your Way・27「再会にならない」
クストースの情報を集めに、ザジは一度街を出た。亜生命種である彼らは、街よりももっと別の所で活動していると思ったからだ。 とは言え、イモータルとは違うので解りやすく活動しているとは思えない。たぶんこの探索も外れに終わるだろうな、とザジは見て…
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Change Your Way・26「覚悟を決める」
ザジたちは一つの街にいた。 おてんこさまが消滅したあの後、ザジは黒ずくめの男に挑んだもののあっさりと返り討ちにあった。セイの力を借りても相手は涼しげな顔でそれを中和し、その場から姿を消したのだ。「どないしよう……」 広場のベンチにもたれな…
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Change Your Way・25「欠けるもの。欠けたもの」
何とか逃げ出すことに成功したジャンゴたちはそのまま走る勢いを落とさずに、近くにあった林へと飛び込む。 相手が空間転移を使えるので無駄かもしれないが、一応辺りを見回して追っ手がいないことを確認すると、ようやくジャンゴはペースを落とした。「……
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Change Your Way・24「鎮魂曲」
灰色のパイルドライバーは、セレンを飲み込んだ後にすぐ消滅し、舞台に開いた大穴もそれにあわせて閉じられた。後に残るのはサバタたちだけである。 サバタが一歩踏み出すと、それが合図かのように虚空から宝珠が現れた。落とさないように受け止めると、彼…
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Change Your Way・23「最後の音」
やっとのことで上に繋がる階段を見つけたカーミラは、軽く置くだけで足が抜けそうなそれを軽々と上っていく。どういう仕組みなのかは解らないが、出てきた場所は舞台袖ではなく廊下だった。 最初出てきた場所がわからずに少し混乱するが、壁などで何とか現…
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Change Your Way・22「間奏、そして最終楽章」
歌が響く。限りなく威力を落としたものだが、カーミラの周りの床を粉砕させるには充分だった。「きゃあっ!」 元々腐食していてぼろぼろだった床が抜け、カーミラは劇場の地下へと落ちる。今度は日の光がどこからも差しようがない完全な闇だ。 カーミラに…
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Change Your Way・21「第四小節から間奏へ」
全てを手に入れたい。 何の犠牲も払わずに!「歌、か」 次の日になってカーミラの話を聞いたサバタはぼそりと呟いた。 歌、『歌姫』、『唄女』。深海王セレンを繋ぐキーワードは『歌』である事は間違いない。そしてヴォートとリリスが大きな鍵を握ってい…
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Change Your Way・20「第一小節~第三小節」
「「『唄女』?」」 サバタとカーミラの声が見事に唱和する中、リリスは適当に見つけた椅子に腰掛けて、自分の目的を淡々と語る。顔見知り程度の自分たちに話すあたり、結構切羽詰っているのかもしれない。「『唄女』は『歌姫』とはまた違った……強いて言え…
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