IN THE END・5
目が覚めてからすぐにやった事は、窓に飛びつくことだった。月はもう見えない場所に移動したようだが、まだ周りは暗い。夜明けまでは時間がありそうだ。 夢の残影を振り払い、ふらふらと立ち上がる。今この時にあの夢を見てしまうとは、まるで何かの策略の…
ボクタイ長編6
IN THE END・4
お婿さん、と言われても、幼いカーミラにはよく分からなかった。ただ一つ分かったのは、これから人に会いに行くということ。「貴方の未来のお婿さんはね、貴方と同い年の優しい男の子よ」「カーミラちゃんと、きっと仲良くなれるわ」 二人に手を引かれなが…
ボクタイ長編6
IN THE END・3
翌朝。カーミラは日が昇ってすぐに準備を始めた。 とは言っても、改めて持って行こうと思うものは何一つない。いつも所持している日傘ぐらいだ。後は簡単な朝食を作り、メモと一緒に置いておく。 空の様子を見て今日の天気をある程度予想すると、カーミラ…
ボクタイ長編6
IN THE END・2
螺旋の塔。 かつて太陽仔の一族の繁栄の証である太陽都市の証とも言える塔。その麓が、約束の丘。 そこでカーミラが見たのは黒髪の男性と、その男性の足元で倒れているサバタだった。「サバタさま!」 慌ててカーミラが駆け寄って抱き起こすが、サバタは…
ボクタイ長編6
IN THE END・1
「接触したいと?」「ああ。彼の者を蘇らせた月下美人……、我等の筋書きを超えてみせた者だからな」「月下美人……。そういえば、我等の神と一番近しい存在でしたね」「だからこそ、一番最初に倒れた者でもあろう。見てみたくなったのだ」「お待ちを。貴方様…
ボクタイ長編6