ボクタイ長編7

Change Your Way・43「きみのとなり」

 Change your way…… まだ自分を拒もうとする本は片手で払って、ジャンゴはリタの肩を抱く。まだ完全に水晶化していない彼女は、見開いた瞳に大粒の涙をこぼし、ジャンゴを見ていなかった。「こっちは色々覚悟決めて言ったってのに……」 …

Change Your Way・42「僕が僕である理由」

『ジャンゴ』が大きく発光する。 あちらはあちらでリタの水晶化を止めようとしているらしい。ちょっと安心してジャンゴはヤプトと向き合った。 ヤプトの方は剣を向けられても笑い続けている。自分は倒せない、という絶対の自信からなのだろうが、ジャンゴは…

Change Your Way・41「運命の定義」

 それは戦いというものではなかった。ただ二人は静かに立っているだけだ。 リタは両手で「自我を導く本」を抱きしめ、ヤプトは「嘲笑う鈴」を手に持っている。本のページをめくることはないし、鈴も鳴らされる事はなかった。 凄腕の戦士ならにらみ合いだけ…

Change Your Way・40「わたしとあなた」

 扉はリタが来たときとは違って固く閉ざされていた。 とりあえず持っていた四つの宝珠を扉の前に差し出すと、軋み音を上げながらもきちんと扉は開いてくれた。扉の先は完全な闇だが、かまわずに飛び込む。 一本道なので迷うことがないのが助かった。足元に…

Change Your Way・39「大歌劇」

 二回戦って、相手の動きはある程度読めている。だが、運命王はまだ奥の手を隠し持っているとジャンゴは読んでいた。 亜生命体であるはずの彼女は、ずっと人間の姿で戦ってきている。クストースの主である運命王が、もう一つの形態を持っていてもおかしくは…

Change Your Way・38「分岐」

 ジャンゴはまっすぐに『シヴァルバー』を目指す。 残された時間は少ない。だから急いでいた。 今、出来ることが全てをいい方向に導くと信じて。 サバタの後を追っていたザジたちが街を出ると、あのクストースたちの劣化量産型である土塊の動物たちが周り…

Change Your Way・37「消える思い出。残る意思」

 役目を終えた灰色のパイルドライバーは、傷をかさぶたが塞ぐように土が覆い隠してしまった。 ジャンゴは雨が止み、日差しが顔に当たるまでずっとそこにいた。 クストースの聖地にて、南の椅子がボロッと崩れる。これでクストースは全員やられた事になった…

Change Your Way・36「裏切り、そして断ち切り」

 腹に食らったのは拳だったので、そこから血は出なかった。その代わり、酷く咳き込んでいるうちに血を吐いた。 黒ジャンゴだったら興奮したかもしれないが、赤ジャンゴである今は焦りしか感じられない。切られたダメージもあるので、いよいよもってやられる…

Change Your Way・35「perfect hell」

 グリーヴァが跳んで来た。その手には、鎌槌が握られていてぎらりと生々しい光を放っている。 シンプルな袈裟懸けを軽く避けるが、ジャンゴは反撃が出来なかった。彼がユキとミホトであることが、どうしても剣をためらわせてしまうのだ。 ヤプトは、グリー…

Change Your Way・34「Angel With Dirty Face」

 煙が晴れ、そこにいる『誰か』をジャンゴは確認し……目を疑ってしまう。 いたのは一人だけだった。それも、ユキでもなくミホトでもない全く別の存在がそこにいた。「てけり・り、てけてけ、てけり・り、り……」 意味不明な言葉を話しながら、ゆらりと立…

Change Your Way・33「1+1=1?」

 ユキの一言に一番驚いていたのはミホトだった。 ジャンゴへの憎しみも全て忘れて、真摯なユキのまなざしにひるんだような顔になる。「……嘘でしょ?」「嘘じゃない」「そんな事ないわ! だって貴方はそこの太陽少年に騙されて……」「騙されてない。ジャ…

Change Your Way・32「出来ることは?」

「運命王さま」 誰かに呼ばれたと思って振り返ってみると、ミホトが武器を携えてそこにいた。 怪我は完全に癒えたのか、見た目は太陽少年に襲撃を仕掛ける前とほぼ変わらなかった。唯一変わったところといえば、その眼に宿る感情だろう。 今の彼女は弟を『…