ボクタイ長編7

Change Your Way・7「亜生命種」

 剣を落とした手が、静かに握られる。「……お前が、ザナンビドゥを……」 唸っていた猫が、ジャンゴの方を向いてにゃーんと悲しそうな声で鳴いた。奴ばかりを責めるな――そう言いたいかのような声で。 ヤプトはそんなジャンゴの怒りを、お門違いだと言わ…

Change Your Way・6「再構成」

 ザナンビドゥが棺桶に封印される。 抵抗はなく、ほんの少し揺れた程度ですぐに収まる。「……この人」 ジャンゴの言葉を、おてんこさまが拾う。相槌は打たないが、ジャンゴはちゃんと聞いているのが分かったようだ。「お父さんのこと、……好きだったのか…

Change Your Way・5「My father」

 ザナンビドゥは、クストースの一人になってから魔法についての勉強を始めた。選ばれる前は逃げ回るのに必死で、そのようなものに手を出す余裕がなかったのだ。 おかげで最初は大分主に迷惑をかけたが、今はこうして文字を読み、内容が理解できる。 とりあ…

Change Your Way・4「見知らぬ守護者(ガーディアン)」

「カルソナフォン…?」 白い少女――カルソナフォンは、リタに名前を呼ばれてこくりとうなずいた。「何故私を誘ったんですか?」「興味があった……では不服か?」 今度の質問はあっさり返ってきた。中身よりもその速さに、リタはちょっと不審な顔になる。…

Change Your Way・3「襲撃」

 昼ごろ、サン・ミゲルは平和な時間を破られ、悲鳴と破壊音が響き渡る戦場と化した。突如、謎の豹の大群が押し寄せ、サン・ミゲルの街並みを荒らし始めたのである。 重軽傷含めて怪我人が出始めているが、死者はまだ出ていなかった。それでも、いつ重傷者が…

Change Your Way・2「点から線に」

 ジャンゴが家に戻ると、珍しくサバタとカーミラが真剣な顔で話し合っていた。 兄とカーミラがあまり話し込んだりするのを見たことがない。兄とザジなら、簡単な皮肉や口論の応酬をしているのを良く見るが、この二人はいつも無口で一緒にいる。 人の関係は…

Change Your Way・1「白い幻影」

 そこはどこかは分からない。地下にあるのかもしれないし、はるか空にあるのかもしれない。 唯一つだけ言えるのは、“そこ”は今の世界には似つかわしくないデジタルとファンタジーが融合したかのような場所だった。 明かりらしいものはどこにもないが、壁…