おめでとう
ぺらり。 カレンダーをめくる。「あら」「どうなさいました」 凛花の言葉にレオンが反応した。ただ、カレンダーの方に視線を向けているのは凛花だけだ。「いや、もうすぐみんなと会って一年なのねって思って」「ああ……」 一年前、博物館に訪れ、ライダ…
ライドカメンズ短編
ツーショット
タップ、スワイプ、スワイプ、タップ……。 ライダーフォンを操作し、目的の写真を呼び出す。花見の時、凛花自身が撮った写真。 凛花の視線は、執事レオンの前にいる男――魅上才悟だった。「……」 才悟の写真は少ない。写真を撮るきっかけがなかなかな…
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1本の桜がある
桜前線が北へ北へと上りつつある一日。虹顔市の桜は徐々に花から葉に変わりつつあった。 凛花が今見上げている桜の木も、半分が葉になっていて、緑とピンクの混ざり合った色となっていた。「あら」 開いた弁当箱の中に、桜の花びらが一枚入り込む。 その…
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エージェントの休日・春
「みんな、空いてる時間はあるかしら」 年若いエージェントがウィズダムシンクスをはじめとした仮面ライダーたちに呼びかける。 その切り出し方に懐かしい物を感じつつも、彼らは少女の言葉に耳を傾けた。「やっと暖かくなってきたでしょう? この機会に『…
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ジャスティスライドのホワイトデー
ホワイトデーまで後1日を切った。 ジャスティスライドは先月のバレンタインのお返しとして、深水紫苑たちの家でクッキーなどのお菓子を作っていた。「これで完成か」「お疲れ様、蒲生くん」 慈玄や陽真がそれぞれ焼き菓子を完成させる中、才悟はいまだせ…
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エージェントの休日・冬
「みんな、空いてる時間はあるかしら」 そう切り出したのは、若いエージェント。 少女の言葉に耳を傾けたのは、マッドガイやスラムデイズをはじめとした仮面ライダーたちだ。「最近寒いでしょう? 暖かい温泉旅館にみんなを招待したくて」 冬の寒さが厳し…
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歩くチョコレート
・Q Qが『それ』を見つけたのは本当に偶然だった。「何これ」 エメラルドグリーンの紙袋。中には白い箱が入っている。開けてみたい衝動に駆られるものの、ヤバい物だったら目も当てられない。いたずらは自分が安全な場所でやってこそだからだ。 一応自分…
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1月26日に
雪が降ってから3日は経った。 あれだけ積もっていた雪も徐々に溶け、今では道の端に申し訳程度に置かれているぐらいだ。ここ中央公園も、雪は端に寄せられていて土が入り混じった山となっている。 そんな雪の山の近くに、見覚えのある影を見かけた。「魅…
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待ち人来たらず?
引いたおみくじは、末吉。 失せ物は出る。待ち人は来たらず。波乱万丈な一年になるでしょう。 ――待ち人は来たらず。 おみくじの文言をじっくりと見たはずだが、頭に残ったのはただ一つ。待ち人は来たらず。 エージェントの少女は、おみくじを木に縛り…
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私のサンタは早寝です
「クリスマスイブにパーティーをやるんだ」 時期は12月中旬。 仮面カフェに遊びに来た伊織陽真の第一声は、それだった。「仮面ライダー屋の仕事でクリスマスグッズをたくさんもらってさ。せっかくだからおれ達もパーティーやろうって事になったんだ」 な…
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アイネクライネ
穏やかな歌が終わる。ラジオパーソナリティがさっきまでの歌の解説を始めた。『米津玄師で『アイネクライネ』でした。さすが代表曲なだけあって、いい歌ですね。では次のリクエスト……』「魅上くん、手が止まってるわよ」 歌に聞き入っていたため、食事の…
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PM:915
夜9時。「あー、今回も面白かった」 毎週見ているドラマを見終わった伊織陽真は、満足した顔でテレビのスイッチを切った。まだ寝るつもりはなかったが、つけっぱなしだと夜更かししてしまうので、キリのいいところで電源を切ることにしているのだ。 その…
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