ライドカメンズ短編

キミがよく眠れるように

 エージェントが倒れた。 一人で調査している間に急に身体がだるくなったらしいのだが、まだ大丈夫だと無理をした結果、仮面カフェで倒れてしまった。 当時客がいなかったのが不幸中の幸いで、急ぎレオンが自室まで運び医者を呼んだ。 医者の見立ては無理…

彼女がドレスに着替えたら

 その夜、コスモス財閥が抱えている屋敷でパーティーが行われていた。 財政界のパーティーなので仮面ライダー屋はほとんど関係がない……と思いきや、レオンから直々に依頼が来た。曰く、高塔兄弟や主の持つカオストーンを狙ってくる可能性が有り得るので、…

かくりよのうみ

 夜の海は好きだ。とは言っても、今日初めて見たのだけれど。 暗いので海と空の境目が解らないところ、波が軽く押し寄せては音を立てるところ、小さな光が明滅するところ。 昼の海とは全く違う世界が、そこにあった。(まるで異世界への扉が開いたみたい)…

続・執事の独白

 からん、と水の中の氷が少し動く。 コップが汗をかいているのだが、彼――魅上才悟は気づくことなくぼんやりとしている。「……ふぅ」 珍しいため息。何も知らない女子たちがこっそりきゃあきゃあと騒いでいるのだが、彼はそれらに気を遣う余裕はない。だ…

プラネタリウム

 満天の星が目の前に広がっている。 虹顔市では見られなかった空に、魅上才悟は思わず息を飲み込んだ。 隣に座っているであろうエージェントの少女も同じように、この空に感動しているのだろうか。 今、才悟はエージェントの少女と共に、隣の市のプラネタ…

あにいもうと

 彼女にとって魅上才悟は兄であり、弟である。 年齢的には兄なのだが、性格的に危なっかしく、何かと世話を焼きたくなってしまう。そういう点では、弟ともいえる。 ……少なくとも、少女にとって才悟はそんな存在だった。「ほら、魅上くん。袖が汚れるわよ…

全部颯のせいです

 ある日の仮面カフェ。 いつも通りに水を頼み、それを飲んでいると、景気よくドアベルが鳴って颯が入ってきた。「やっほー! ……あれ、才悟?」 颯はこっちに気づくと、ぱたぱたとこっちに近づいてくる。別に一人で飲みたかったわけでもないので、黙って…

「ミカミサイゴ」

 鳴り響くベルに、仮面ライダー才悟は足を止めた。 たくさんの生徒たちが校舎に吸い込まれていく。どうやら朝の登校時間のようだ。『今日授業終わったら何する?』『はー、やっと朝練終わった~』『おい、そろそろ校門閉めるぞ!』『やだなー、宿題済ませて…

デート指南

「魅上くん、美味しい?」「ああ」「そ、そう」「……」 何とも言えない空気が二人の間に圧し掛かる。 何とかしなくては、何とか言わなくてはと、脳内で慌てて言葉を探すも、何一つ浮かんでこない。 頭に浮かぶのはただ一つのフレーズ。(どうしてこうなっ…

恋愛勉強中の彼の後ろで

「ショックだったか?」 VIPルームに入った瞬間、宗雲にそう言われてエージェントの少女は微苦笑を浮かべるしかなかった。 ――実は、宗雲と魅上才悟が件の恋愛ドラマについて語り合っている間、彼女もそこにいた。 話の内容が内容なだけあって、どうし…

モラトリアム・ガール

 ――さすがに駅で出会った時は、驚くなんてレベルじゃなかった。「あの、魅上くん。何でここに?」「キミに付いて行くためだ」「……」 迷いなく言われて、エージェントの少女は思わず沈黙してしまった。 ――ある日、凛花は唐突に次期財閥総帥の立場も、…

執事の独白

「いや、別にあのお二人の仲を裂きたいわけじゃないんですよ?」 結論から言えば、本当にそれだけの事なのだ。 レオンは先代が財閥総帥だったころから仕えているベテラン執事である。 今現在はその先代の忘れ形見である一人娘に仕え、彼女を立派な財閥総帥…