ライドカメンズ長編2

セッション

 彼女にとって、SoLAIREとは人生であり自分自身だった。 代表曲の「Neon Parade」はもちろん、ブレイクする前の「Solo」、「Grand Crown」なども毎日リピするぐらいだった。周りの人間がよく解らないアイドルや俳優の話題…

とある日の匿名掲示板にて

24 名無しの店主 20XX/11/09/22:43 来たよ、うちの店にもドタキャンDQN でもその時居た客のおかげで何とかなったんだけど25 名無しの店主 20XX/11/09/23:01 >>24 kwsk あ、話す時はトリ…

初めてのウィズダム

 ふらふら、ふらふら。 女はぼんやりと歩いていた。どこを歩いているか、どこに行こうとしているのか、それら全部が解らない。ただただ足だけが動き、彼女をどこかに導こうとしていた。 本来なら整えているはずの髪は酷くぼさぼさで、顔も化粧が取れてすっ…

アニメコラボカフェにて

(だ、大丈夫。バレてないわよね) 人ごみに紛れて、フードを深くかぶる。近くに自分の知り合いはいないが、それでも警戒するに越したことはない。 周りが友達や恋人と一緒に盛り上がる中、私は一人で周りを警戒しつつ列に並ぶという異様な状態だった。 私…

図書館の彼

『……と言うわけで、下町地区の神社は参拝客でにぎわっています』 一月二日のTV。 特番に挟まれたニュース番組の中で、今年の虹顔市の正月を映していた。初日の出を拝みに行く者、福袋を買いに行く者、そして参拝客。 特に参拝客の方は人が多い。そりゃ…

廃ホテルの少女と赤い鬼

 ある日のことです。 女の子が一人で、工業地区の廃棄されたホテルにやって来ていました。「こ、こわい……」 身体はふるえ、足はおっかなびっくり。そんな状態でここまで一人で来たのには理由があります。ここに来て、鬼のウワサを調べなければ、お気に入…

下町浪漫日和

 虹顔市の隣の市には、育ちのいい少女たちが通ういわゆるお嬢様学校がある。 私はその学校に通う高校二年生。仲の良い子たちとグループを作り、その中で平穏で幸せな生活を営んでいた。 そんな日常の中、今日はちょっとだけ変化があった。「みなさーん、ち…