寂しい気持ち・10日目
ジャンゴが気を失った理由は、疲労と貧血だった。傷は浅くはなかったが深いものでもなかったので、そのまま自宅療養になった。「馬鹿な奴だ。ここまで無茶をするとはな」 貧血と疲労で倒れたジャンゴをベッドに寝かせながら、サバタがぼやいた。 最近のこ…
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寂しい気持ち・9日目
はらり。 10枚目のカレンダーは、知らないうちに落ちた。 剣が閃くたび、グールが消える。「数が多い……!」 ジャンゴは何回目だか分からない愚痴をつぶやいて、また剣を振った。 グールの進行を止めるため、ジャンゴとおてんこさまはサン・ミゲルに…
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寂しい気持ち・8日目
カレンダーを捲る。また捲る。 8枚目のカレンダーを捲る時、リタはなぜか悪い予感がした。「お久しぶりね。太陽少年」「……やっぱり、復活したんだ」 2週間前に浄化したイモータル。『彼女』は薄い笑みを浮かべる。「貴方は、相変わらずそうね…」「違…
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寂しい気持ち・7日目
風邪を引いて寝込んでから三日目。ようやくジャンゴの熱も下がった。 とは言え、風邪は引き始めと直りかけが肝心。大事を取ってまだ寝ていた。 その日は、ザジが見舞いに来た。「大丈夫か?」「うん。だいぶ熱も下がったし、明日には外出歩けると思う」「…
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寂しい気持ち・6日目
「ジャンゴさまが風邪を?」 果物屋。 サバタにはああ言ったものの、言うか言わないかで丸一日悩んでしまった。一日経ってもまだ熱が下がらないのを聞いて、ザジはようやく言うことを決めた。「……」 いつものリタなら速攻で飛び出しそうなのに、今はただ…
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寂しい気持ち・5日目
ジャンゴとリタが喧嘩した翌日も雨だった。 外に出たくなかったジャンゴは、家で一日薄着でボーっとして過ごした。……それがいけなかった。「38度5分。風邪だな」 あの日から二日目。 朝から頭痛が激しいジャンゴは、朝御飯を全部食べられなかった。…
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寂しい気持ち・4日目
天気はゆっくりゆっくりと崩れていく。 快晴だったあの日から5日目、雨が降り出した。 アンデッドダンジョンに篭もること半日。ようやく外に出たジャンゴは土砂降りに困り果ててしまった。「レインコート、家においてきちゃった……」 家を出る時、兄か…
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寂しい気持ち・3日目
パイルドライバーが発動する。 差して抵抗もなく、イモータルは浄化された。 ジャンゴの心の中に、永遠に浄化されることのないモノを残して。 ぺらり。 7枚目のカレンダーをめくった。 早朝。 からんからん、と軽い音を立てて、果物屋の…
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寂しい気持ち・2日目
「寂しい?」 イモータルが問いかける。「……どういう事?」 ジャンゴは相手の真意が分からず問い返した。 日捲りのカレンダーが、また一枚捲られた。 日が昇るたび、リタはジャンゴも同じように昇る日を見ているのだろうかと思う。 あの太陽は、今彼に…
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寂しい気持ち・1日目
サン・ミゲルのとある日。一人の少女が誕生日を迎えた。「リタ~、誕生日おめでとうな!」「……おめでとう」「おめでとう、リタ」 町の人々が口をそろえて祝福の言葉を言う。テーブルには美味しそうな料理やケーキ。華やかな飾り。たくさんのプレゼント。…
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