流星短編

ファーストデート・インプレッション

 カードにある数字は、4・5・6・7・8。 そしてその柄は……全てダイヤ。「……ストレートフラッシュだ」 誰かが、ぽつりとつぶやく。 それが勝負の終わりとなった。「何だよスバル! 最後の最後で負けやがって!」「しょうがないよ。ストレートフラ…

戦士と歌姫の話

 全くの気まぐれでピンチに陥ったのは、不幸としか言いようがない。 複雑なスカイウェーブを渡りに渡り、やがては細い道へと迷い込んでいたハープ・ノート……響ミソラは、帰り道が解らずに困り果てていた。「どこがどこなんだか解らないわ……」『だから調…

私は彼を知らない・3「扉の向こう側」

 目の前に大きな扉があります。 その扉の向こうには誰かがいます。 貴方はその扉をどうしますか? 扉を壊しますか? 鍵を持ってきて開けますか? それとも 中の人が開けてくれるまで待ちますか? でも。 どれだけ選択肢があったとしても、「はい、ど…

私は彼を知らない・2「猫と少年」

 猫がいた。 その猫は一人で生きていた。 猫がいた。 その猫は一人で死んでいった。 嗚呼、私は猫になりたい。 猫ならきっと、一人で生きても大丈夫。 嗚呼、私は猫になりたい。 猫ならきっと、一人で死んでも大丈夫。  &nb…

私は彼を知らない・1「予期せぬ客人」

  一匹狼は群れに入らずにいる狼を指す。 一匹狼は群れに入れない狼を指す。 狼は何故群れに入らないのか。 もしかしたら、一人で行動するのが合ってるのかもしれない。 もしかしたら、群れるのが苦手なのかもしれない。 もしかしたら、入ろ…

巡る 地獄の季節

 絆というものが美し過ぎて恐ろしいものだと気づいたのは、いつごろかな。 昔の私は、世界で一番大事なものを奪われた事で、耳をふさいで歩いていた。 ただ口を開いては頭に浮かんだフレーズを歌う。それだけで周りは自分を褒め、自分を許してくれた。それ…