流星短編

戦士はかく語りき

 メテオG事件から1年後のある日、ソロは見知らぬ連中に拉致監禁された。 響ミソラの一番のファンだと言う彼らは、「ミソラちゃんが受けた痛み以上の苦痛を味わわせてやる」と言い放ち、何日も暴行を加えた。 殴る蹴るの暴行から始まり、熱湯を体中にかけ…

温泉に行こう

 その日は、秘湯巡り番組の収録だった。 秘湯と言われているが、ミソラもそこは知っている。肌がきれいになる、景色が素晴らしいなど評価も高く、いつかは行きたいと思っていた場所だ。 キャストやスタッフ、旅館の人々はいい人ばかりで、出された料理もと…

「お返し」

『そろそろホワイトデー。世の男性諸君、準備してますか?』 画面の向こう側のアナウンサーが、そんな煽り文句を言う。 何の気にもなしに足を止めたソロの前では、インタビュアーが町中の男性にマイクを向ける画像が映っていた。 日付を確認すると、現在3…

アンサー

「で、どうだったの、結果は」「スバル君には朝渡したよ。朝ごはん食べてる途中だったけど、メール送ったら出てくれたもん」「電波変換できるからやれる芸よね……。私はゴン太とキザマロと一緒に渡したけど、ラッピングとかでバレないか冷や冷やしたわよ」「…

ミステリー・チョコレート

「はい、これ」 2月14日。バレンタインデー。 サテラポリスに呼び出されたソロに渡されたのは、かわいらしくラッピングされたプレゼントだった。「……何のつもりだ」「バレンタインよ。チョコレート」 訝しげに問うソロに対し、プレゼントの送り主であ…

20分間の夏祭り

 ソロにとって正直夏祭りというイベントに対してさほど興味もないのだが、屋台から漂う香ばしい匂いは足を向けるには充分な理由だった。 今年は見知った顔に捕まり、恋愛に関わる悩みをぶちまけられた。自分とは全く関係ない内容かつ、その相手があの星河ス…

わたしのへや

 見方が少し違うだけで、考え方も違う。 彼の言葉は一種の哲学だ。 これが最近加わった、ミソラのソロ――『彼』の評価である。 最初はただの敵だったが、徐々に色々付け加えられて、今では『彼』という存在が解らなくなっている。自分にとって、彼は何な…

とある孤高の戦士のホワイトデー

 ソロは困っていた。珍しい事に。 理由は一つ。明後日来る3月14日の事だ。「……『ホワイトデーは3倍返し』……」 あちこちで見かけるこのフレーズ。ホワイトデーを盛り上げるための口実の一つだが、今はただソロを悩ませるだけに過ぎない。 そもそも…

酒と泪と男と女?

 6月×日大安吉日。午後8時過ぎ。 星河家と白金家の結婚式→披露宴→二次会のプログラムが終わり、招待客が家路についていた。 今も変わらぬ大人気アイドル・響ミソラもその一人だった。 20代となりますます美しさと歌声に磨きがかかった彼女だが、そ…

ファーストデート・インプレッション

 カードにある数字は、4・5・6・7・8。 そしてその柄は……全てダイヤ。「……ストレートフラッシュだ」 誰かが、ぽつりとつぶやく。 それが勝負の終わりとなった。「何だよスバル! 最後の最後で負けやがって!」「しょうがないよ。ストレートフラ…

戦士と歌姫の話

 全くの気まぐれでピンチに陥ったのは、不幸としか言いようがない。 複雑なスカイウェーブを渡りに渡り、やがては細い道へと迷い込んでいたハープ・ノート……響ミソラは、帰り道が解らずに困り果てていた。「どこがどこなんだか解らないわ……」『だから調…

私は彼を知らない・3「扉の向こう側」

 目の前に大きな扉があります。 その扉の向こうには誰かがいます。 貴方はその扉をどうしますか? 扉を壊しますか? 鍵を持ってきて開けますか? それとも 中の人が開けてくれるまで待ちますか? でも。 どれだけ選択肢があったとしても、「はい、ど…