ボクタイ長編3

新月に接吻を、満月に抱擁を・4

 貴方となら、堕ちるのも怖くない。 ……いいえ、貴方と共に堕ちることが私の道。 ザジが帰った後は、いつも以上に静まり返った居間で食事を取った。今日はジャンゴが食事当番だったのだが、様子の異常さを悟ってサバタが一人で作ったようだ。 ……食事を…

新月に接吻を、満月に抱擁を・3

「……ん」 日の光を感じて目を開くと、窓から差し込んでいる光が飛び込んできて、ジャンゴはまた目を閉じてしまった。もう朝か、と思い頭を振って眠気を追い払う。 だんだんと意識がハッキリしてくる中、ジャンゴはとあることに気がつく。 窓から差し込ん…

新月に接吻を、満月に抱擁を・2

 暑く張った雲が、時間と共に少しずつ雨を降らせる。ここしばらくは晴れ続きだったので、恵みの雨ともいえるだろう。 そんな中、ザジは傘を差してふらふらと歩いていた。調べ物はもう終わった。後は実行に移すだけなのだが、その実行への一歩が踏めない。踏…

新月に接吻を、満月に抱擁を・1

 元々、僕は太陽が好きじゃないのかもしれない。 ジャンゴは最近そう思うことが多くなった。 彼がヴァンパイア退治に出かけて、もう6日になる。日めくりのカレンダーも残った数は少なくなり、後もう少しで年が明けることを語っていた。 もう待つのには慣…