「で、どうだったの、結果は」
「スバル君には朝渡したよ。朝ごはん食べてる途中だったけど、メール送ったら出てくれたもん」
「電波変換できるからやれる芸よね……。私はゴン太とキザマロと一緒に渡したけど、ラッピングとかでバレないか冷や冷やしたわよ」
「あー、それで思い出した。明日でもいいから二人に渡してくれる?(チョコを2つ出す)」
「渡しておくわ。……それで、もう一人は?」
「へ?」
「『へ?』じゃないわよ。私は渡したわよ、ソロにも」
「……あ~、そっちも何とか渡せたよ」
「そう。受け取ってもらえるか解らないって悩んでたみたいだけど、渡したのね」
「……見てたんだ。あの番組」
「まあね。ミソラちゃんは普通に渡せると思ってたから、ちょっと意外だって思ってたわ」
「そりゃ普通の相手ならね。でもソロってそういうの絶対に受け取らないんじゃないかって」
「そう? 私は『スバル君や私を助けてくれたお礼も兼ねてるから』で押し切ったわよ」
「凄いね……」
「……まあ種明かしすると、ゴン太たちに押さえつけてもらったんだけど」
「うわ、その手があったかぁ~」
「……」
「……ルナちゃん?」
「……本当は、受け取らなさそう以外にも理由、あるんじゃないの?」
「解った?」
「貴女らしくないもの」
「……。スバル君に遠慮するんじゃないかなって、思ったの」
「どういう事?」
「ほら、一度オリヒメたちと一緒にいたでしょ? その時ソロとも一緒にいたの。それで……」
「スバル君の事ばかり言ってた、とか?」
「ソノ通リデス……」
「はぁ~……。それは遠慮しそうだわ」
「真面目な子だもんね……。それでチョコ上げる、なんて言ってもね……」
「ちゃんと理由を説明すれば解ってくれるとは思うけどね……」
「……それもダメだったんだ」
「??」
「最後に、嘘ついちゃった」
「え?」
「ファンからチョコたくさんもらったから食べるの手伝ってって、言っちゃった」
「ちょっと、それどうなのよ!?」
「ダメなのは解ってるよ。でもね、最後の最後で、怖くなっちゃったの」
「怖い?」
「ソロに、『こんなのいらない』って言われるのが」
「……」
「スバル君はいらないって絶対に言わないけど、ソロは言うかもしれない。別の奴に渡せって言われるかもしれない。そう思ったら、本音を出せなくなった」
「確かに、スバル君は受け取らないなんてしないけど……」
「今まで受け取らない人はいなかったから、喜んでくれるかなーぐらいしか思わなかったからね。受け取らないかもしれない人に渡すなんて、これが初めてだったんだよね」
「……」
「そのくらいの事、なんだよね」
「……」
「なんで、嘘ついちゃったんだろ。ほんとバカだなぁ、私」
「……来年こそ、ちゃんと渡しなさいよ」
「うん……」