危険度S級ウィルス

『ミソラのライブ中に仕掛けてくるとはな』
「目的を考えれば当然だろう」
『まあ確かにな』
 アシッド・エースの軽口に対して真面目に対応するブライ。
 実際、ブライが戦っているウェーブロードの真下から大歓声とミソラの歌声が聞こえてきていた。

 〇月×日。この日はミソラの縦断ツアーの日だった。
 しかし彼女の人気をねたんだアイドル崩れの女がミソラのアンチと手を組んで、彼女のライブを台無しにすると脅迫状を送り付けてきたのだ。
 手を組んだ連中は捕まえたものの、台無しにするという作戦そのものは実行されてしまった。
 その作戦が、ボディーガードを依頼されたブライ、つまりソロの前に立ちふさがっているウィルスのようだった。ぱっと見た目ただのウィルスにしか見えないが、今ブライの目の前に立つ奴らはただのウィルスではないと長年の勘が囁いている。
 そもそも動きからして妙ではあった。基本ウィルスは電子器具に干渉するものだが、目の前のウィルスたちはただミソラ達の上にとどまるばかり。何が狙いなのかよく解らない。
 何もかもが異常だった。
『ブライ、気を付けてください』
 通信に割り込んできたのはシドウのウィザードであるアシッド。優秀なウィザードは、シドウより先に異常に気付いていたようだ。
「余計なお世話だ」
 そう切り返したのはいいものの、内心では対処に戸惑っていた。正確には断言できないが、こいつらは恐らく……。

 びゅっ!

「ちっ!」
 攻撃が飛んできたので、ウェーブロードを蹴って回避しつつ間合いを詰める。ラプラスブレードを一閃させ、まとめて切り伏せた。
 目の前の敵が爆発したのを確認する。とりあえず危険は去った……と思ったのが油断だった。
『ギ……!』
「!?」
 いつの間にか後ろに回られていたらしい。最後のウィルスの攻撃をもろに食らってしまった。急ぎブライナックルで最後の敵を撃つ。これで今度こそ本当に危険は去った。……ミソラや観客の危険は、だが。
 どうやら担当していた相手を全部倒してきたらしい。アシッド・エースが慌てて近づいてきた。
「おい、大丈夫か!?」
『急ぎ救護を……』
「いらん。あとで睡眠薬だけ寄越せ」
 二人の心配をバッサリと切り捨て、ブライは電波変換を解いた。
 それが、数時間前。

 

「はぁっ……くっ……」
 病院の個室、そこのトイレでソロは一人苦悩していた。
 いつもの仏頂面を取り繕ってはいるが、顔は赤く額から脂汗が流れている。吐く息も熱く、油断していると口からよだれも出てきそうだった。
 そして何より。
 ズボンを下ろして思いっきり出した股間は、肉竿がにょっきりとそそり立っている。びくびくと震えたそれは、今にも精液を吐き出しそうだ。
 ぎこちない手つきで何度も扱き、肉竿に程よい刺激を与えていく。たまに亀頭もいじれば、体が大きく震えた。
「う……っ!」
 どぴゅどぴゅという音とともに、何度目か解らない射精をする。体力消耗で倒れることができればいいのだが、体はそう簡単に倒れてくれなかった。
「く、そ……っ」
 熱はいまだ去らない。
 便器にぶちまけた精液を手早く流し、まだ大人しくならない肉竿をまた扱き出していると、手近な所に置いておいたハンターVGが鳴った。
『ようソロ! 少しはマシになったか?』
 取った瞬間便所にこだまする、陽気なシドウの声。切りたくなるのをぎりぎりでこらえ、「そんな風に聞こえるか」と全力を振り絞って悪態をつく。
 さすがにからかってばかりもいられないと思ったか、シドウはカラカラ笑いつつも悪い悪いと謝ってくれた。
『まさか敵が放ったウィルスが危険度S級のやつとはな……。まあ台無しという点ではおあつらえ向きか』
「確かにな……」
 今現在のソロの状況を鑑みれば、攻撃を少しでも食らっていれば大騒ぎは間違いなしだった。もし食らっていたら……と考えて、ソロは背筋がうすら寒くなった。
 ソロが相手の正体に気づいたのは、相手が攻撃する直前。何とか攻撃に当たらないよう立ち回っていたつもりだったが、最後の最後で油断してしまった。最近少したるんでいたな、と反省するが、既に後の祭りだ。
「ウィルスはあれで全滅したのか?」
『それは問題ない。徹底的に調べたが、痕跡もカケラも何も残ってないよ』
「そうか」
 良いニュースに、ソロは心底胸をなでおろす。あんなものが蔓延られてしまっては、日常生活もろくに送れないからだ。
『で、だ』
「?」
 ハンターVGの向こう側で、シドウがくつくつと笑う声が聞こえる。何となく嫌な予感がしたが、続きを促した。
『睡眠薬よりもこっちの方がいいと思ってさ。今送ったから『使って』くれよな!』
 ぽーんと音が鳴り、「メールを受信しました」のポップアップが浮かび上がる。不審に思ったソロがそのポップアップをクリックすると、一本の動画が再生された。
 その動画は。

『みんなー! 盛り上がって行こう!』
『うおおおおおおおおおおお!!』

「!?」
 ついさっきのミソラのライブ動画……しかもミソラを中心的に映したものだった。普段なら笑顔とその歌に見惚れかけるのだが、今回は違った。
 水着に近いセパレートの衣装は、いつもよりも過激でセクシーなそれ。しかもカメラは重点的にミソラを映しているから、軽く揺れる乳房や尻、うっすらと流れる汗などがよく見えてしまうのだ。
「き、貴様!」
『あはははは! お前なら拡散しないだろうし、ミソラ本人が見ても怒ったりしないだろ! だかr』
 シドウのくだらない言い訳は強制的に切る。ついでに動画も消した。
 とはいえ一度見たという記憶まではサクッと消すことはできない。うっかり目を閉じると、先ほど見た動画が鮮明に頭に浮かんでしまう。
(くそが……っ!)
 打ち消したくても打ち消せない。しかもその記憶に合わせて、また肉竿がびくびくと反応しだした。
 抑えるために再度扱き始めるが、今度はなかなか収まってくれない。ソロは深々と溜息をついた。
「ふぅ……っ!」
 しこしこと手を動かしている自分が情けない。ちょん、と軽く突っついただけでも先走り汁が出る現実に、更にみじめな気分になってしまった。
「うぐっ!」
 ぐちゅ、ぐちゅと濡れた音が鳴ったかと思うと、とろとろとまた精液がこぼれだした。竿と玉部分を刺激し、その量を増やす。
「はぁ……はぁ……」
 やはり熱はまだ去らない。しかしだいぶマシになった気がするので、ソロは呼吸を整えた。

(何が悲しくて、あの女……恋人の動画をオカズにしろと)

 そう。
 本人としては不本意ではあるが、自分とミソラは恋人と言っていいような関係になっていた。
 何度も口づけを交わし、体も重ね合った。既に相手のほくろの数や弱い部分まで熟知してしまっている。本来なら、赤の他人のままでいるべきはずの自分たちがだ。
 バレないように慎重に交際を続け、セックスの回数も制限してきたつもりだった。しかしシドウは感づいているあたり、さすがサテラポリスのエージェントというべきか。
 だが悲しいかな。現実は非常。ソロは瞼の奥のミソラの姿をネタに手を動かしていたのが事実だ。
「ちっ……」
 舌打ちしても始まらない。さて、これからどうするべきか。
 あのウィルスの攻撃は、時間が経てば収まるのは知っている。だから寝てやり過ごそうと思って睡眠薬を手配したのだ。
 しかしシドウの余計な「気遣い」のせいで、その目論見も無に帰した。こうなると時が過ぎるのを待つか、奴の所に殴りこんで睡眠薬を巻き上げるかの二つしかない。
 ソロは前者を選んだ。正直、この状態でシドウのもとに殴りこんでも睡眠薬を手に入れられるとは思えない。指さされて笑われた挙句、再度動画を押し付けられるのがオチだ。最悪、もっと際どい動画を押し付けられるかもしれない。
 ぱっとした打開策が頭に浮かばないまま、ソロは再び勃ち上がりかけている肉竿に手をかけた。

 しこ、しこ……

 目の前は自分の意思に反してそり立つ肉竿。
 目を閉じれば浮かぶのはミソラの艶姿。
 ソロは心の底から深々と溜息をついてしまった。

 

『だから、一晩もすれば元気になるから……』
「だったらもうちょっと詳しく説明してください! 何でソロが病院送りになっちゃってるんですか!?」
『精密検査とか受けさせたからだって。とりあえず今日一日は安静にって……』
「あーもう!」
 珍しく煮え切らないシドウに業を煮やしたミソラは、ライブ衣装のまま病院に乗り込んだ。

 ミソラはライブを終えてすぐに、ソロが危険度S級のウィルスにやられたことを知り、打ち上げもそこそこにシドウと連絡を取った。
 しかし。
 普段の明朗快活なシドウらしからぬ、どこか詰まっているような引っかかっている返答の数々。何か隠している、と瞬時に察し、ミソラは病院に乗り込んだのだ。
(心配するにきまってるじゃない! もう恋人なんだから!)
 ソロ本人は否定するかもしれないが、既に自分たちは何度も肌を重ねた身。これを恋人と言わずに何と言うのか。
 色々紆余曲折あったが、今は素直に彼の事が好きだと言える。だからこそ、今ミソラは食いつかん勢いでシドウに詰め寄っているのだ。
「いいから、病室の番号教えてください! 教えないとクインティアさんにあの事……」
『解った! 解ったから! 場所は……』
 というわけで。
 シドウから部屋番号を聞いたミソラは、意を決してドアをノックする。
「ソロ、入るよ」
 返事は、ない。
 ミソラは入っても大丈夫だと自己判断し、ためらいもなくドアを開ける。だが、ベッドにソロの姿はなかった。
「ソロ?」
 S級ウィルスにやられたのなら大怪我していてもおかしくない。しかしベッドは空だ。
 さっさと出て行ってしまったのかと思ったが、それにしてはベッドが全く乱れていない。元に戻したというより、使っていないという感じだった。
「ソロ、どこ?」
 もう一度呼ぶと、返事するかのように別のドア――トイレからがたりと音が鳴る。近づくと、人の気配がした。
「そこにいるの?」
「来るな!」
 声をかけると中からソロの声が聞こえた。思わずドアノブから手を離すが、中にソロがいるなら様子を確認したい。再度ノブに手を伸ばそうとするが。
「来るな!」
 ソロが再び叫ぶが、声色にいつもの余裕がない。やはり何かあったようだ。
 仕方ないので、ドア越しに会話することにした。
「来るなって言われても、大丈夫なの?」
「ああ」
「でも相手は危険度S級のウィルスだったんでしょ? 怪我とか……」
「怪我はない」
「じゃあ」
 思わずノブにまた手が伸びるが、ソロの次の言葉でその手が止まってしまった。

「フィジカルじゃない。メンタルの方で拙い相手だ」

「……どういうこと?」
 メンタルと言われてもいまいちよく解らない。鬱になるとかそういうものなのだろうか。
 ミソラが首をかしげていると、ドアの向こうでソロが苦しそうに唸った。
「ちょ、ちょっと本当に大丈夫なの!? メンタルの方ってなんか暴走するの!?」
「……だ、大丈夫だ。暴走は……ある意味そうだな……」
 まだよく解らない。ある意味暴走する、とはどういう意味なのだろう。開けるかどうか悩んでいると、またソロが苦しそうに唸った。
「や、やっぱり開けて! そこまで苦しんでるなら放っておけないって!」
「待て、やめろ!」
 ソロが必死になって止めるが、もうミソラは止める気はなかった。開かないのを解っていても、がちゃがちゃとノブを回してしまう。いざとなったら壊してでも、と思っていた矢先、やっとドアの鍵が開いた。
 かすかに開いたドアからむわっと漂う空気。それは過去に何度か感じた、異様なそれだ。
(あ……!)
 ミソラがその正体に気づいた瞬間、ソロが「……入れ」と招く。
 恐る恐るトイレに入り……息をのんだ。

 完全に勃起した肉竿を押さえようとしているソロが、そこにいた。

「そ、ソロ、それって……」
「ひ、響ミソラ、貴様こそその恰好は……!?」
 動揺したソロの一言で、ようやくミソラは自分がライブ衣装のままだということを思い出す。
 そう言えばお披露目した時、ソロが珍しく視線をそらしていた。水着ほど露出度が高いわけではないから、割と純情なのかなと思った程度だったけれど。
 いや、それよりもだ。
「それよりも、どうしたのそれ!」
 セックスの時ぐらいしか勃ち上がらないはずの肉竿。なのに今、ビキビキと反応しているそれはどう見ても勃起状態だ。
 見られたソロは少し視線をさまよわせたが、すぐにミソラの方に視線を合わせた。
「ウィルスの影響だ。攻撃を食らうと、性的興奮状態になる」
「え」
 ミソラの目が丸くなる。
「危険度S級というのはそういう事だ。電波体だけでなく、人体にも影響がある」
「そうなんだ……」
 簡単な説明だが、その厄介さはよく解った。ライブ中にこんなものをばら撒かれたらと思うとぞっとする。
 なぜソロが病院送りになったのも理解できた。シドウが口を濁したのも、今なら解る。こんな状態で日常生活に戻るのはかなり厳しいだろう。
 それにしても。
(大きくしてる……)
 そそり立った肉竿に目が行ってしまう。
 何度も処理したのだろうが、それでもなお大きくなっている肉竿。いつもの時より大きそうに見えるそれは、ミソラをどきどきさせるには十分だ。
 トイレ内に漂う空気のせいなのかも知れない。自分が着ている衣装のせいなのかもしれない。色々言い訳は頭に浮かぶが、そんなことよりも。
「ソロ……」
 跪いて、ビキビキと震える肉竿に口づける。
「おい!」
 ソロが慌てて止めてくるが、もう止められない。気持ちよくさせたいし、気持ちよくさせて欲しい。
 舌で亀頭を舐めつつ、手で竿部分を扱く。たまにやる口淫。
「んんっ……んふっ、れろれろ……」
 じわりと股間から蜜を溢れさせつつも、ソロの肉竿を愛でる。口で咥えると、じゅぽっ、じゅぽっ、といやらしい水音が立った。
「く……っ!」
 ミソラの手と口で扱かれた肉竿が、更に大きくなった気がする。歯を立てないように丁寧に首を動かしていく。
 先端を舌でねっとりと舐めると、ソロの体がびくりと跳ねた。射精が近いのが解る。
 胸と膣がきゅんとなるのを感じつつ、ミソラは竿を扱いた。
「ひ、響、ミソラっ……やめろ……ッ!」
 頭に置かれた手から力が抜けていっている。声はギリギリ平静を保っているものの、熱く激しい息は誤魔化し切れていなかった。
 当然、ミソラはその程度で止めるつもりはない。玉の方も揉み解すことで、更に興奮させていく。
「う、く、来る……! もうやめ……ろ!」
「ふ……うんっ!」
 我慢汁が出始めた。
 このまま口の中で出させようかなと思っていたが、火事場の馬鹿力か勢いよく口の中から肉竿を抜かれた。それと同時に同時にソロが射精する。
 どぴゅっと音を立てて飛び出した精液が、ミソラの顔や衣装に降りかかる。
「うひゃあ……」
 我ながら間抜けだなと思いつつ、顔にかかった精液をぬぐう。肌に直接かかった部分はともかく、服の方にかかった精液はもうしみこみ始めていた。買い取りは確定かなと少し頭が痛くなった。
 それにしても、いっぱい出たと思う。
 自分が来るまでソロがどのくらい処理していたかは解らないが、これで少しはマシになったと思いたい。そんな期待を込めてソロの方を見たが、彼はまだ苦しそうだった。
「まだダメ? 辛い?」
 ミソラが聞いてみると、ソロは恥ずかしいのかうつむきながらこくこく頷いた。ソロにとっては屈辱なのだろうが、ミソラにとっては愛らしい恥じらい顔。
 ともかく、まだ辛いなら続ける必要がある。下着ごと衣装をずり上げて、柔らかな乳房を露出させた。
 先端に乳首を当て、すっと亀頭から玉までこすりつけた。
「うぐっ!」
「あん……っ♡」
 互いにびくりと震える。
 勢いで乳房で肉竿を挟み込むような形になり、ソロの肉竿がさらに固く熱くなった。
(そう言えば、おっぱいで挟むのも気持ちいいんだっけ?)
 背伸びして読んだ漫画の中で、そういうプレイがあったのを思い出す。
 うろ覚えだがやってみようかと思った時、ソロが力強い手で止めた。
「ベッドに行くぞ。そこで可愛がってやる」

 

 ミソラの超ミニスカートを下着ごと脱がし、「何故か」用意されていたゴムを手早くつける。下着もスカートも引っかかった状態だが、もう気にしていられる状態ではなかった。
 いいかどうかを聞くこともなく、腰をつかんで蜜でとろとろになっている秘部に肉竿を押し込んだ。
「はあぁぁぁっ♡」
 既に出来上がっていた体は、待ってましたと言わんばかりにソロの肉竿を締め付ける。膣だけでなく乳首や陰核もびくびくと反応し、ソロの目を喜ばせた。
 ……が、同時に心の中でむくむくと劣等感も湧き上がった。
「こんな格好で踊り狂って濡らしてたか」
「そ、そんなわけ……あひぃ♡ ないもん……っ!♡」
 ぷるんと揺れる胸を揉み、乳首を刺激する。乳房をさんざん弄んでから離すと、動画で見た時よりも激しく動いた。
 解ってるのだ。ミソラの言葉は真実なのだと。
 それでも、彼女がこんな誘うような恰好をして歌い踊っていた、という事実はソロにいらぬ嫉妬と劣等感を湧き上がらせてしまう。それがみじめで仕方がなかった。
 自分と彼女の間にはどうしようもない隔たりがあるのだという事実。それが今もなお、ソロの心を縛り続けていた。
 ミソラは何も知らずに自分のモノを咥えて、妖しくよがる。きっと幸せを感じているのだろう。幸せそうな顔が憎らしかった。

 ずちゅっ!

「はぁんっ♡」

 ぱじゅっ! ずぷっ!

「あぁっ♡ あんんっ! そ、そこ、良すぎぃぃっ♡」
 焦りを振り切って肉欲に溺れようと、腰をひたすらに動かす。誰よりも愛おしいと思う女。もう手放せない女。
 もっと感じろ。もっとよがれ。自分以外を認識するな。
 浅ましい独占欲のままわざと浅く突けば、ミソラが泣いて懇願してきた。
「お、奥ぅぅ!♡ 焦らしちゃいやぁぁ!」
「ならもっと締め付けろ! 欲しがれ!」
「あはぁっ♡ し、締め付けるよぉぉっ! ソロのもっと欲しいもんっっ!♡」
 きゅううう、と命令通りにソロの肉竿を締め付けるミソラ。ちゃんと言うことを聞いたご褒美として、最奥まで一気に貫いた。

 ずちゅぅぅぅぅ!!

「ああぁぁっ!♡」
「っ!」
 ほぼ同時のタイミングで二人とも体を大きく震わせる。ミソラの軽イキが、ソロの快感を大きく引き上げていた。
 自分が、この女を気持ちよくさせている。その事実に、ようやく独占欲が収まり始める。
 ああ、それでも。もっともっと繋がらないと不安になってしまう。
 求めるままに唇を重ね、舌を絡める。息苦しくなるまで唾を吸い合い、熱を分け合った。
「ん、ん、ふ……っ♡」
「んんっ」
 名残惜しそうにぺろりと舌でミソラの舌を撫でると、ミソラの体がびくんと跳ねた。
「そ、ソロ! 私……!」
 蕩けたミソラの顔が愛おしい。自分だけが見れる顔。自分だけに見せてくれる顔。
 それでも、心の底にこびりついた不安や焦りは消えない。いつかは消えてなくなる幻、手を伸ばしたら誰かに奪われそうな大切な物。

 ……愛することが、怖い。

「イけ! イカせてやるッ!」
 とどめとばかりに、子宮まで突く。
 ミソラが一番感じる場所を的確に刺激したため、膣内が強く締まる。もう限界だろう。
「あんっ、あぁっ♡ い、いっくぅぅッッ!♡ はぁあああぁぁーーーーッッ!!♡♡」
 絶頂。
 びゅくびゅくとゴムの中で吐き出されるのを感じながら、ソロは大きく息をついた。
 ミソラの方はまだ絶頂が続いているのか、体がびくびくと震えている。熱い吐息をつく姿が、随分と色っぽく見えた。

 

 

 さすがに限界が来たのか、肉竿は大人しくなった。
 また勃ちあがる可能性はあるが、この調子なら一人で処理できるだろう。
「大丈夫?」
 ミソラが覗き込んできたので慌てて隠す。彼女の視線でまた勃ってしまったら元も子もない。
 彼女の方はそんな苦労を知らず、けらけらと笑った。
「恥ずかしがらなくてもいいのに~」
「黙れ」
 一睨みしたが、今のミソラには効果なし。さらに笑われたので頭が痛くなってしまった。
 調子が狂う。……というより、ミソラにはかなわないということを思い知らされる。惚れた弱みもあるが、それだけ彼女が自分より強いのだろう。
「大丈夫だよ」
 こっちの心を見透かすようにミソラが自分に抱き着いてくる。
「私はそばにいるからね」
 ああ、畜生。ソロは自分に毒づく。

 結局自分は、この女に弱いのだ。