遠くでごろごろと雷が鳴っている。近場ではないが、電灯がちかちかと点灯している辺り、少し拙そうだ。
「停電が来るかもな」
「ほんと?」
電波の流れが見えるソロと違い、ミソラの方は実感がないらしく首をかしげている。そんな彼女の言葉に反応したかのように、部屋が真っ暗になった。
「や、やだ、か、懐中電灯!」
慌てたミソラが立ちあがるが、暗い中で足がもつれたのだろう。ふらりと倒れそうになった。
「ちっ!」
ソロも慌てて立ち上がり、倒れそうになっているミソラの手を取る。とっさの判断が功を奏し、ミソラは倒れることなくソロの腕の中に納まった。
――赤い目と緑の目が、ねっとりと絡み合った気がした。
「……するの?」
何を、とは言わない。とろりとした視線と、どこか甘さを感じる声。暗闇の中なのに、紅潮している顔がはっきりと見えた気がした。
「欲しいか?」
あえて普通の声音で問えば、彼女は赤い顔のまま視線を逸らす。拒絶のそれではなく、恥じらいのそれだ。
「……ベッドで、して」
恋人の家でセックスするというのはよくあるシチュエーションだが、ソロにとっては困った事だった。
大人気アイドルの家という事でセキュリティはしっかりしてると思っているが、それでも誰かに覗かれているのではという不安はぬぐえない。
それにここは表の世界。自分と彼女の間に、何かあってはいけない。
いけない、はずなのに。
「あっ、あっ、そこっ、いぢめ、ないでぇ……ッ! あぁーっっ!!」
陰核を執拗に刺激されたミソラが、ぷしゅっと潮を吹く。穿いたままのショーツは既にぐしょ濡れで、べっとりとソロの手に張り付いていた。
今の二人は半脱ぎ状態で、肌を重ねている。
一度火が付いてしまった身体は、シャワーを浴びる時間や服を脱ぐ時間すらもったいなく感じて、そのままベッドに直行してヤり始めた。
後ろから抱きしめるようにして乳房を揉み、固くなった乳首をつまんで弾く。あっという間に彼女の秘部から淫蜜が溢れ、メスの臭いで充満した。
もう何度も見た顔、何度も聞いた嬌声。……何度も感じる切なさと愛おしさ。
「このまま行くぞ」
「えっ、あっ、ああ゛あ゛ぁー-~ッッ!!」
心の痛みを振り切るように、ミソラの秘部に一気に自分の肉竿を押し込んだ。きゅうきゅうと締め付けてくる膣壁、溢れて止まらない淫蜜。
気づけばソロは激しく腰を動かし、最奥をひたすら突いた。
「イくっ! イくイくぅッ!! ひぁぁぁああああぁぁっっっ!!」
前戯で出来上がったミソラは、あっという間に達してしまう。入り込んでいる肉竿を限界まで締め付けてきたため、ソロも勢いで一気に絶頂まで行ってしまった。
ミソラはぐったりとベッドに倒れ込むが、ソロはまだ大きい肉竿を入れたままだ。
「……?」
ぼんやりとこっちを見てくるミソラ。ソロはそれに構わず、彼女の右足を持ち上げて再度ピストン運動を開始した。
「やぁぁんっ! ま、待ってえぇっ! い、イッた、ばかりなのぉぉ! ぁあんっ! あッ!」
「知るか」
ぶるぶる震える足と再び締め付け始める膣内を堪能しつつ、あえて冷たい声で言い放った。
「倒れるまでしてやる。覚悟しろ」
窓から朝日が差し込む。既に雨が去った空は、昨夜の荒れ模様がなかったかのように晴れやかだ。
しかし、自分の心はまだ雨が降っている。ソロはそう思った。
(……止められなかった……!)
あの後、宣言通りミソラが倒れるまで抱いた。やめて、という懇願を無視し、ただただ彼女の体を貪り続けた。
最後はゴムを付ける事すら億劫で、何もつけないまま彼女の中で何度も出してしまった。危険日ではないはずだが、妊娠する可能性は0ではない。
そうやって二人の間には何もない事にしていた。そのはずなのに。
(どうして……!)
肝心なところで頼りにならない理性が、嫌になる。何もないようにふるまい続けているのに、たった一つのアクシデントで彼女への想いがあふれ出してしまう。
決して報われない想いのやり場所がないからこそ、彼女を拒絶したかった。
「くそっ……!」
今も眠るミソラの隣で、ソロは頭を抱えた。