何がともあれ、相手の情報を知らなければ何もできない。
ミソラはまずブライのことについて調べることに決めた。幸い、昼はメイドとして働くように命じられているので、家を歩き回ることは疑われなかった。とはいえ、相手の自室などは立ち入り禁止だが。
掃除と洗濯をこなしつつ、家の間取りを把握する。理想はブライも知らない隠れ場所を見つけ出すことだが、さすがにそれは高望みしすぎだろう。
元々家事は嫌いではなかったし、ちょっとした気分転換になるのでメイドとして働くことには不満はなかった(上手い下手はさておいて)。
そんなわけで、最近見慣れてきた廊下をモップとバケツを持って駆け回る。せっせと汚れを落としていると、がちゃりとドアが開いて誰かが顔を出した。
『ミソラさま』
見た目こそ人間ではあるが、丸すぎる黄色い目は人間のそれではない。魔導生物だ。
「ラプラス」
名前を呼ぶと、ラプラスと呼ばれた魔導生物は恭しく頭を下げる。
この魔導生物は昔からブライに仕えており、家の構造からブライのプライベートまで隅々まで知り尽くしているらしい。冗談めかしてブライの秘密を聞いてみたことがあるが、「秘密です」とはぐらかされたことがある。
『熱心なのは結構ですが、やりすぎはよくないです』
「そうだけど」
『ソロさまも困ります』
ソロ。ラプラスはブライを何故かそう呼ぶ。
いったい誰のことか、何故そう呼ぶのかは知らない。ラプラスやブライに聞いてみたが、適当にはぐらかされた。
『ミソラさまはこちらを』
ラプラスが案内したのは、奥まった場所にある倉庫。確かに目に見える埃があちこちあり、しばらく掃除していないのがよく解る。
むせかえる埃臭さにむっとなってしまうが、命令されたのならやるしかない。ミソラは持っていたモップを握りなおした。
それから数十分ほど。
「なんか、物が少ない……」
ある程度の掃除を済ませたミソラの感想が、それだった。
全くないというわけではないが、人が住んでるにしては荷物が少ない気がする。何が足りないかは解らないが、何となく引っかかった。
と。
端っこできらりと何か光った気がしたので、ミソラはそっちに近づく。荷物に隠れていたそれを、丁寧に引っ張り出した。
首飾りだった。
「何だろ、これ」
シルバーのチェーンとペンダントトップというシンプルなデザイン。だいぶ前の物らしく、あちこちが黒ずんでいた。
ペンダントトップは何かのマークを思わせるが、見覚えはない。スズカが魔法に詳しかった気がするが、今ここに彼女はいない。
どうしようか。調べるために取ってしまうか、それともブライかラプラスに気づかせるために解りやすい場所に置いておくか。
しばらく悩んでいたが、後ろでがちゃりとドアノブが回る音がした。ラプラスかなと振り向いたミソラの目に飛び込んできたのは、厳しい顔をしたブライだった。軍服を着たままなので、帰ってきてここに直行したのだろう。
「何をしている」
「そ、掃除。ラプラスがこっちやってって言ってたから」
「そうか」
はずみで手に持っていたペンダントをポケットにしまってしまう。一瞬はっとなってしまったが、この状態で返すわけにもいかないと何故か思った。幸い、ブライはまだ気づいていないようだ。
「掃除はもういい」
「え、いいの?」
「こっちの相手をしろ」
そう言われて意味が解らず首をかしげるが、次の瞬間唇を奪われてその意味を察した。
「ん……んんっ、ふ……」
「ちゅ、る……」
舌を差し込まれ、口の中をかき混ぜられる。くちゅりと音が鳴るたび、身体の奥でじわじわと熱が上がり始めた。
とろりと流れてきた相手のつばを飲み込むと、体中をぞくっとした何かが走り抜ける。
「ら、め……」
深い口づけの間にも抵抗しようとするが、足に上手く力が入らない。踏ん張るだけで精いっぱいだ。
ブライの方は極めて普通の顔で、ミソラの口の中を犯していく。こっちが震えているのを知っているのか、ぐいと腰を引き寄せてきた。おかげで崩れ落ちることはなくなったが、それだけブライに身体を近づけることになる。
やがて口を離すが、物足りないと言わんばかりにつばが糸を引いていた。
「こっちに尻を向けろ」
ブライが冷静に告げる。
反抗したいが、身体は既に快楽を待ち望んでしまっていた。ブライに言われた通り、彼に向けて尻を向ける。
かたっとブライが動いたと思うと、スカートがまくり上げられ、下着を下ろされた。
ふーっと秘部に息がかかった。
「ひっ!♡」
ミソラの体が跳ね、秘部からぽたぽたと蜜がこぼれる。体をひねってブライの方を見てみると、彼の顔に少しかかっていた。
「あ、あんっ」
思わず謝ろうとした声は、ブライの指が動いたことで喘ぎ声に変わる。ぐいっと秘部を広げられ、さらに引くついてしまう。
「いい色だ。ひくつきも、誘うようだな」
「や、やめ、あふぅっ♡」
引くつくそこに舌を入れられ、ミソラは大きく鳴いた。
ブライの舌の動きは止まらない。割れ目をなぞり、引くつく部分に口づけて、じゅるじゅるとあふれる蜜をすする。
ぴちゃ、くちゅ、ちゅうっ
「は、あッ♡ うぁっ♡ やらぁぁッ♡」
ブライのもたらす快感に震え、自分から腰を動かしてしまうミソラ。いつの間にかブライの指は陰核をつまみ、軽くこすっている。
服を着ているのがもどかしい。下着に覆われている胸、特に乳首が固く勃ちあがっているので、触れるだけでもじりじりと快楽が襲ってくるのだ。
これ以上気持ちよくなってしまったら、腰が動くだけでなく卑猥なことも口走りかねない。そう考えたミソラは、歯を食いしばった。
「ん……ふっ!♡」
「どうした、もっと声を出していいんだぞ」
「だ、誰が……っ、あッ!」
とうとうブラウスの上から胸を揉まれた。そのまま器用にブラウスのボタンを外され、柔らかな胸が露出される。
右手で乳首をいじられた瞬間、ミソラの口の中で喘ぎ声がはじけた。
「――ッッ!!♡」
秘部から出る蜜の量もさらに増える。
まずい、と心の奥がアラームを慣らすが、そのアラームをかき消すようにブライの左手の指が膣内にもぐりこんだ。
乳首と膣内。二つの激しい刺激がさらにミソラの熱を引き上げる。足もがくがく震えだし、まともに立てない。
さらにブライの指が動き、とんとんとつつかれる。乳首の方もきゅっと引っ張られた。腰が大きく動き、ブライに押し付けるような形になってしまう。
「ああぁぁっ……だ、だめぇ!♡ 中、で……動かさないで……ぇぇっ」
「そうか、なら……」
どちゅぅぅっ!
「はぁああぁっ!♡」
一気に肉竿が押し込まれた。さんざん濡らされた場所が刺激され、ミソラは大きく体をそらす。
ぷるぷると身体が震えるので、胸が妖しく揺れた。ブライはそれを誘いと取ったらしく、今度は両手で揉む。当然、乳首への刺激も忘れておらず、絞るようにつねったり指の腹で優しくこすったりする。
ミソラの尻とブライの腰がぴったりとくっつきあった。
「は♡ あ……っ、ん、んっ♡ はぁ……ッ」
動かなくても中の肉竿がびくびくするので、快感が絶えることはない。そして何より奥を突いているため、踏ん張れば踏ん張るほど中のモノを意識せざるを得ないのだ。
結果。
「いい締め付けだ……。だいぶ…感じてるようだな」
「か、感じてなんかな、ぁ♡ ないぃぃ……!」
自分から腰を動かし、きゅうきゅうと肉竿を締め付けてしまう。口は何とか虚勢を張り続けられているものの、身体の方は限界に近かった。
じゅぽっ! ぐちゅっ! ずちゅぅぅっ!
とうとう相手の方が動き始めた。
引っかかりや先端で刺激されたことで、ミソラの膣内も負けじとブライの肉竿を包み込む。互いに相手の弱い部分を刺激されたことで、雄と雌の匂いが充満し始めた。
「あひぃっ! ふぁあぁっ♡ やぁぁああんっっ♡ が、がんがん来てるぅぅぅぅ!♡」
「そうか、淫乱らしいな!」
「言わないでェェェ♡ あッ! おぁあぁっ! ふぁあぁ♡」
「こっちは……どうだ!」
「あ゛あ゛あぁぁぁっっ!♡ お、お゛かしぐな゛るぅぅぅぅッッ♡」
角度を変えて大きく突かれた瞬間、ミソラの目の前が真っ白になる。股間からもぷしゅっと潮が吹き出て、床をさらに汚した。
「行くぞ、全部受け取れ!」
「あ゛うぅぅぁああ゛あ゛あ゛ッッ!!♡♡」
ブライの射精を受けたことでとうとうミソラが達した。
熱い精液が中で暴れているのを感じつつ、甘い痺れに身を任せる。ブライも同じように官能の痺れを感じているのか、先ほどまでの勢いが嘘のように静かになった。
足の力が抜けていく。バランスを崩して倒れそうになるのを、ブライがさっと受け止めた。
このまま部屋まで抱きあげてくれないかな、と考えてしまうミソラだが、ブライの言葉は極めて冷徹だった。
「服を着て食堂まで来い。食事をとるぞ」
こんな状態で立てるわけないと反論しようとしたが、それより先にブライは部屋を出て行ってしまう。
後に取り残されたのは、まだ絶頂の疲れが残るミソラだけだった。