40代のおばちゃんエージェントがカボチャ料理を配って歩くお話 - 1/3

 ハロウィン間近の日、中年女性――エージェントにギャンビッツインの久城駆が迫っていた。
「おばちゃん頼むよ~! 全部とは言わないから!」
「そうは言うけどねぇ……」
 駆が拝み倒してまで頼んでいるもの、それはカボチャの中身だった。
 下町地区でもハロウィンイベントを行うので、飾りのジャック・オー・ランタンを作っていたのだが、その際くりぬいたカボチャの中身が余ってしまったのだ。
 自分でも作って消化していたのだが、いかんせん量が多すぎる。皇紀にも(半ば無理やり)譲ったのだが、まだたくさん残っているとのことだった。
「レオンに頼めばいいだろ」
「そっちはもう頼んだ! ある程度引き取ってもらったけど、まだ残ってるんだよ~」
「ふーん……」
 どんだけくりぬいたんだと突っ込みたいのをこらえて、どうするかを考える。自分も一応料理はできるが、プロやプロ級の連中に比べれば劣る。しかし彼らはそれを知らないだろう。
 さてどうするか。しばらく考えて……
「解った解った。残ったやつは引き取るよ」
「よっしゃあ! このくらいで買い取ってくれよな!」
「待て、もらってくれって言っといて金せびるんかい!?」