流星R18

救い

 この血がある限り、幸せや救いとは無縁だと思っていた。 孤高こそ誇りと信じ、一人である事こそ強いと信じていた。 自分の心のどこかでは誰かを求めているとしても、それは決して手に入らないと。 焦燥も憧憬も閉じ込めてもなお、最後に残ってしまったの…

危険度S級ウィルス

『ミソラのライブ中に仕掛けてくるとはな』「目的を考えれば当然だろう」『まあ確かにな』 アシッド・エースの軽口に対して真面目に対応するブライ。 実際、ブライが戦っているウェーブロードの真下から大歓声とミソラの歌声が聞こえてきていた。 〇月×日…

合間に聞かせて

 数カ月前、ミソラはソロに抱かれた。 ――いい加減、覚悟を決めろ。奴を奪うか、別の男に逃げるか。 逃げる、の意味がいまいち解らなかったが、前者……スバルを奪うということを選べなかったミソラは、そのままソロと一線を越えた。 犯されているとは、…

その言葉の代わりに

 ――その聞き方をしたのは、自分にその言葉を言わせないためなのか。 一線を越えてから数カ月。ソロとミソラはホテルで肌を重ねていた。 荒い息とベッドのきしむ音、そして……。「あっ……はぁぁ……んっ♥」「欲しいか?」「そ、その言い方ずるいぃぃ……

傷跡

 同棲して、肌を重ねるような関係になってから数ヶ月。いまだにソロは服を脱いだり、自分の素肌を見せるのを嫌がる。 それでも一応、ミソラはソロが服を脱いだところを見たことはある。どうしても脱がなければいけない理由がある場合なら、彼は大人しく脱ぐ…

遣らずの雨

 遠くでごろごろと雷が鳴っている。近場ではないが、電灯がちかちかと点灯している辺り、少し拙そうだ。「停電が来るかもな」「ほんと?」 電波の流れが見えるソロと違い、ミソラの方は実感がないらしく首をかしげている。そんな彼女の言葉に反応したかのよ…

みんな指すり抜けて

 ビルの窓ガラスに、『それ』は確かに映っていた。「あ……!」 ミソラは引き寄せられるように一歩踏み出すが、その腕をがっと掴まれた。 振り向くと、そこにはスーツ姿のサラリーマンがいた。引き寄せられた瞬間、ミソラの前を車が通り過ぎる。 どうやら…

どうして?

  ――孕ませることだけはしない。絶対に。 何の因果か解らないが、6月のあの日に自分は一人の女を抱いた。 かつて星河スバルの隣にいた女。国民的アイドルとか言われているが、自分はそれほど興味がなかった。 彼女はあの男に選ばれず、その…

落とした初恋の行方を教えて

 飲み過ぎて吐いてしまったソロは、やはり足取りがおぼつかないままだった。 さすがに放置もできず、ミソラは肩を貸して用意された部屋まで連れていくことにした。その手にある部屋のカギは、たった一つだけ。 あのバーテンダーは友人も一緒にと言っていた…