ライドカメンズ長編

40代のおばちゃんエージェントと30歳のドリンク担当が酒を飲み交わすお話

「一人で飲むなんて寂しくないのかな?」「そういうあんたはこっちに来ていいのかい? 女たちに刺されるのはごめんだよ」「ははは、これは手厳しい。でも今日は珍しく長居しないレディだらけでね」「それで人寂しくてこっちに来たってか」「たまには見知った…

40代のおばちゃんエージェントと年齢不詳のアカデミー生がお茶会するお話

 その夢を見たのは、あの事件から1週間ほど経った頃だった。 ――あんたのその顔で、心残りが出来てしまった。 名前を名乗った記憶はないのだが、少なくとも「彼」は自分を認識してくれていたらしい。数分にも満たない出会いと別れだったが、それだけ印象…

40代のおばちゃんエージェントと20歳の小悪魔系とカフェでお茶するお話

 中年女性――エージェントが、「それ」を仕掛けられたのは葬式帰りだった。「ふふふ、動くな」 後ろから目隠しされて、動きを止められる。普通なら大声を上げるところだが、この手の悪戯には慣れてしまっているので、動じずに目隠しを取った。「おいおい、…

40代のおばちゃんエージェントと20歳の帰国子女探偵がフェスタを回るお話

 その日、珍しく教育地区の中央公園に赴いたランスの目に飛び込んできたのは、屋台の数々だった。「お祭り? いや、メニューが違うな」 日本に来てもう数年は経つが、祭りの時に出てくる屋台とは全然違うメニューが並んでいる。どれも見たことがない物ばか…

40代のおばちゃんエージェントと18歳の硬派青年がボランティアに行くお話

「こんなに荒廃しているとは思わなかったな」 開口一番、慈玄は自身の感想を漏らしてしまった。それだけ、このエリアのインパクトが強かったのだ。 ここは虹顔市で開発が放置された旧エリア。 今日の仮面ライダー屋の仕事は、事情があってここに住まわざる…

40代のおばちゃんエージェントと年齢不詳の役者志望がアニメイベントに行くお話

 下町地区は最近よく足を運ぶようになったな、と中年女性――エージェントは思う。 昭和の良き時代を切り取ったかのような街並みの中、しばらく歩いてやっと目的の家に到着する。 挨拶をしてドアをノックするが、返事はなし。ただ鍵は開いているので誰かい…