ライドカメンズ長編4

それは過去より来たる・9

 その後の事は、凜花にとってはほぼ他人事のようなものだった。 吉阪幸一郎はスキャンダルによってほぼ失脚状態。次の選挙はもう無理だろうと周りに言われるザマで、大人しく虹顔市から出て行った。 息子の幸太郎は覇気が無くなったどころか、生気を失った…

それは過去より来たる・8

 ホテルレインボーの入り口はマスコミで埋め尽くされていた。 独自ルートでカオストーンの場所を知った高塔兄弟が降り立つと、そのマスコミは集団でさっと取り囲んでくる。「高塔社長! 会談の内容は本当なんですか!?」「吉阪議員に資金提供を止めると聞…

それは過去より来たる・7

 吉阪幸一郎と幸太郎は追いつめられていた。「電話が、電話が止まらんだと!? 何とかやり過ごせ!」「な、何で、昔の事がこうもたくさん……」 リアルとネット、両方で唐突に流れ始めたスキャンダルの数々。ネットではSNSで匿名アカウントが吉阪幸太郎…

それは過去より来たる・6

 吉阪幸一郎との会食の日。 高塔戴天はいつものように雨竜を連れて、約束の小料理屋に来ていた。「お連れ様はしばらく来られないとおっしゃられてました」「そうですか」 さすが大物政治家。相手を待たせるのは当然と言わんばかりに、まだ来ていないようだ…

それは過去より来たる・5

「ふーん、そういう糞厄介なぼんくら息子がねぇ」「息子がねぇ」 ストレートな言い方とおうむ返しな言い回しはギャンビッツインの二人。 何も知らない彼らはいつも通り見つけたカオストーンを換金しに来たので、昨日の事を話してこれからの事を手短に話した…

それは過去より来たる・4

「いらっしゃいませ。ようこそ、ウィズダムへ」 幸太郎が凜花たちの前に姿を現した夜。その幸太郎は取り巻きを連れてウィズダムへと来ていた。宗雲の見目麗しさに、幸太郎の後ろにいる麗奈ともう一人の女子――天木こずえがきゃあきゃあと騒ぐ。「ここのラウ…

それは過去より来たる・3

 VIPルーム。 二つのコップに適温の水を注ぎ、それぞれ同じタイミングで半分ほど飲む。調査で走り回ったので、いつも以上に水が凄く美味しく感じる。「で」 凜花のため息を見た隣の才悟が、心配そうな顔でこっちを見る。「何があったんだ」「……」 何…

それは過去より来たる・2

 宗雲や戴天がいずれ来る政治家に警戒している中、凜花は才悟を連れて娯楽地区にカオストーン探しに出ていた。「キミといると、色んな人から情報が聞けて助かる」「ふふっ、ありがとう」 今だ口下手でコミュニケーションが苦手な才悟。そんな彼に代わって聞…

それは過去より来たる・1

「だからさぁ、絶対に、ぜぇぇったいに、何かあったよあの二人!」 開店前のラウンジ・ウィズダム。 拳を振り上げてまで力説するのは颯。それを聞いているのは今のところ浄だけだ。「あの二人って誰の事だい?」 解っていてもあえてとぼける浄に、颯はあか…