メテオス長編

METEOS・19

 それに気づいたのは、ギガントガッシュ人の中で2割ほど。それからメタモアークで待機中だったオペレーターだった。「メテオ襲来!」 響き渡る戦歌や、オペレーターの声。出撃する戦士たち。バックアップに回る者、前線に立ってメテオを相手にする者、遠目…

METEOS・18

 君は、何を、思う? その少女は、紫色の帽子とライトブルーのパンタロンから伸びた尻尾が特徴的だった。「汝は、別惑星の者か?」 少女は尋ね方を少し変えてGEL-GELに聞いてくる。最初ぽかんとしていたGEL-GELだが、すぐにこくこくうなずい…

METEOS・17

「空から災厄が来たる」 少女の声に、幾人もの獣人たちが吼える。「だが同時に、空から希望も来たる」 吼える声の色が、少しだけ変わった。 何十、何百という獣人たちに囲まれ、『獣人ではない』少女は神の使いのごとく凛々しい顔で空を見上げている。 少…

METEOS・16

「レアメタル?」 初めて聞く言葉に、ラキは首をかしげた。 それを横目に見たヴォルドンは、コンソールをいじってもう一つのファイルを呼び出す。びっしりと書き込まれたファイルには「レアメタルについて」とあった。「メテオの中でもかなりごく稀にしか出…

METEOS・15

 ステーション格納庫は蜂の巣をつついたような、否、それ以上の騒ぎとなっていた。「な、何なんだあのガキは!?」「だ、ダメだッ! 突破される!」「メテオが全部あのチビに……!」 何人もの兵士が十六、七の少年によって倒され、保管されていたメテオは…

METEOS・14

 メタモアーク内、ヴォルドンの部屋。 研究室もかねているそこで、ケイビオス出身の鉱石学者はいつものように回収したメテオの一つを使って研究を重ねていた。「うーむ、もう少し情報があると思ったのにのぅ」 酸素などの空気凝縮体メテオの欠片を片手に、…

METEOS・13

 メテオを全部破壊したGEL-GELは、初陣と同じように意識を失った。 唯一ヘブンズドア星での攻防戦で出なかったラスタルが彼を回収し、メタモアークに戻る。回収されたの同時に、メタモアークは転移した。 転移先は、ヘブンズドア領域唯一の中継ステ…

METEOS・12

 ヘブンズドア星は、見るも無残にただの残骸と化した。それはあの賢者の像も例外ではなく、欠片が宇宙を漂っていた。 そんな欠片を、幾つかの影のうちの一つが拾った。「悪い事、したかもな」「元々こうなってから動き出すのは、決まってたことなんだし。同…

METEOS・11

 背水の陣で挑んだ戦いは、あっという間に敗戦の色が濃くなってきた。まあ、相手は無数のメテオだから仕方ないといえば仕方ないが。 それでも執念に近い意志で惑星防衛を命じたクレスの顔は、巌のように固く動かなかった。 ――この道は間違っていない、と…

METEOS・10

 コメット襲撃があった夜、クレスは食堂で一人物思いにふけっていた。 本当はこういうのはバーが似合うのだが、あいにくメタモアークにそんな施設はない。酒が置いてあるのは酒飲みなクルーの部屋かここぐらいだ。 くいっとバーボンを飲んでいると、夜勤途…

METEOS・9

 医療室から出た少年は、早速メタモアーク内で迷子になった。 方向感覚というのは持って生まれた天性ゆえに、後付けの能力ではどうにもならないことがある。そして少年は、結構方向感覚が悪かった。 とりあえず適当に歩いていれば誰かに出会えるだろうと考…

METEOS・8

 自分はどこへと行くのでしょうか。 その疑問だけが頭から離れない。   ヘブンズドア領域は危険地域とされているが、領域全体が危険とされているわけではない。 危険と認定されているのは、中心にある「ヘブンズドア星」である。こ…