メテオス長編

METEOS・43

 目を開いて最初に見たのは、青い空だった。 澄み切った平和な青空は、空を覆っていた巨大隕石の存在を否定するかのようだ。だからこそ、あの巨大隕石にリアリティを感じさせたのだが。 ラキは頭を振ってから、ゆっくりと体を起こす。ぼんやりとした頭で周…

METEOS・42

 銃声はサボンたちの意識を呼び戻した。 ともすれば消えそうになる意識を何とか保ち、辺りの状況を確認する。自分たちが撃たれた形跡はなし。部屋は荒らされていない。GEL-GELたちは……。 そこまで考え、慌ててGEL-GELが眠っているカプセル…

METEOS・41

 ――話はビュウブームたちが入り込んだ頃に遡る。 奇しくも同じ研究所に乗り込んだフィアたちは、ビュウブームたちとは違って正面から潜入していた。 堂々と正面から乗り込んだ彼女たちが警備用アンドロイドに見つかることがなかったのは、ひとえにレイの…

METEOS・40

「これで10体目っと……」 攻撃してきた戦闘用アンドロイドを切り倒して、ビュウブームが汗をかくしぐさをした(アンドロイドは汗をかかない)。 付近をサーチしていたラスタルがゴーグルを上げ、「周囲に敵反応はないですね」と戦闘の終わりを告げる。そ…

METEOS・39

 ラキたちがGEL-GELそっくりの男を見た時、ロゥは見知らぬ廃墟で一人彷徨っていた。「連絡が通じない……一体どうすれば……」 電子生命体とも言えるワイヤロン星人は、電波がない場所を極端に恐れる。電気の流れを読み、それによって飛び回る彼らは…

METEOS・38

 OREANAの覚醒から四日。ロスト・パラダイスの探索も順調に進み、上手くいけばどこかのステーションに連絡がつきそうな見込みも立ってきた。 あれからメテオの襲撃もなく、レアメタルの発見もない、きわめて穏やかな日々が続いている。しばらくぶりの…

METEOS・37

 なぜ、自分は発動しない。「はっ!」 なぜ、自分はMETEOSの力を使いこなせない。「……っ!」 なぜ、自分は強くなれない。「くっ……!!」 なぜ、自分は。『……OREANA、シュミレーションは終了だ。戻ってきな』 イヤホンから終了を告げる…

METEOS・36

 無謀だ、と全員が瞬時に悟った。 それは相手が自分たちに襲い掛かってくることではなく、自分たちが相手に襲い掛かることだった。 敵は、それほど強い存在だった。 自分たちがどれだけ足掻いても、あっさり倒されるのではないかと思えるくらいの、強敵だ…

METEOS・35

 故郷は遥か遠く。 積もる思いは山となり、思うが故の涙は海となり。 いつしか純粋が故の憎しみへと成り果てる。 憎しみは、憎しみのまま積もりゆく。  あの戦いの後、七賢たちはずっとメタモアークの行方を追っていた。 移動は常にテレポー…

METEOS・34

 OREANAも加わり、戦力はアップした。 危惧していた暴走も今のところなさそうなので、ラキは計画を第二段階に移す事に決めた。「やっぱり僕は賛成できません」「俺も反対。これ以上ヤバイ橋渡るのはな」「だろうな」 その話を聞いたGEL-GELと…

METEOS・33

 ロスト・パラダイスを探索中、地表の八割が海という惑星を発見した。 メテオの影響が全くない惑星だが、ここから出る手がかりがあるかもしれないということで、惑星に降下して調査する事となった。 ただ八割が海なので、メタモアークでは表面しか調べられ…

METEOS・32

 こんな星を知ってるか? 資源も環境も恵まれた美しい星。 だけどそこで息づいた生命によって少しずつ滅んでいった星。 美しすぎる故に自分勝手な考えを持つに至った星。 意味のない争いばかりが続いた星。 傲慢で無意味でもあった星。 一番最初にメテ…