孤独な欲望に囚われて・10

「ふーん、ミソラは行方不明、ね」
 あの後、スバルは仲間たちの元に戻り、そう報告した。
 ほとんどの仲間はミソラが失踪したことを嘆いていたが、シドウはそう含みを持たせた言い方で済ませた。
「一応ある程度捜索はするが、まあ見つからないだろうな」
「ですね」
 スバルも同じように含みを持たせた言い方で返す。
 ミソラはもうミーティアに戻らないだろう。彼女は自分の幸せを見つけたのだから。
 今度は自分が大事な人と幸せになる番だ。

 ソロがミソラを連れて行った場所は、誰もいないこじんまりとした家だった。
「ここは?」
「オレの家だ。無駄に金だけたまっていたから買った」
「そ、そうなんだ……」
 随分と高い買い物だ。だがおかげでディーラー国を出た後でも身を寄せる場所があるのだから、どう役に立つのか解らないものである。
 ソロが鍵を開けて中に入るので、ミソラもその後に続く。
 家の主がいないはずなのに、家の中はそんなに埃っぽくない。ラプラスがここまで来て掃除していたのだろうか。
「ディーラーの人たちはここの事知ってるの?」
「知らないはずだ。誰にも話していない」
 隠れ家と言うわけか。そんな場所に連れてきてもらったことに、心が弾んでくる。
 その気持ちのままもう一度キスしようかと動くが、その時ポケットがかさりと音を立てた。
「あ」
 ようやく「それ」の存在を思い出して、ポケットから取り出す。

 ――ムーのペンダント。

「やっぱりお前が持っていたか」
「ごめんね。いつか渡そうと思ってたんだ」
 このペンダントがあったから、ソロを知りたくなった。彼に近づく一歩になったのだ。
「大事な物なんだよね?」
「……そうだな」
 ペンダントをかけようと首に腕を回すと、その瞬間ソロの方から口づけてきた。今度は舌を絡める熱いキス。
「んっ、ぅんん……ッ!」
 身体から力が抜けていくが、それでも頑張ってソロの首にペンダントをかけた。ソロ本人はまったく気にしていないようだが。
 くちゅ、といやらしい水音が鳴るたびに、口内でミソラの舌が弄り回される。離れたくて角度を変えようとするものの、ソロが手で押さえてくるためそれもできない。
「ら、らめ……ちゅく」
 足ががくがく震え始めてきたので、必死になってソロにしがみつく。
 一瞬にも永遠にも感じられる時間が過ぎ、ようやく唇が離された。さんざん口の中を舐られたため、唾が糸となって後を引いていた。
 雌としての部分がきゅんきゅんとうずく。
「べ、ベッド、連れてって……」
「ここでしたい」
「え……」
「欲しくなった。我慢できないほどに」
「あんっ!」
 普段のソロらしからぬ片言に、逆に本気を感じた。右手は既に服の上から胸を揉み始めているし、左手はするすると股間の方に伸びてきている。
 ぎらぎらと輝く目に気圧されて、思わず手から逃れて後ずさりしてしまうミソラ。つまり、壁に一歩近づくということだ。
 ソロが一歩踏み出したことで、さらにミソラは後ずさりして壁に近づいてしまう。とん、と背中が壁に当たった瞬間、己の愚策を悟ってしまった。
 抑え込まれ、また唇を奪われた。
「ふ……んぅ」
「んんっ……んーっ♡」
 下着の上から左手で秘部に触れられる。既に蜜が出始めていたため、下着はぐっしょりと濡れていた。
 指はあえて下着の上から割れ目を刺激する。直接的ではない刺激がもどかしく、無意識に腰が動いてしまった。
 やがて、息苦しさから唇が離れる。
「ぅ……はぁっ!」
 同時に股間から何かが吹き出る。早すぎる潮吹きに、ミソラは顔を赤らめた。
「や、やっぱりベッドでして。恥ずかしい……」
「駄目だ。ここでやってから連れていく」
「そ、そんなぁ、あぁっ♡」
 指を突っ込まれて、ぐりぐりと動かされる。浅いところにある弱い場所を繊細につつかれ、腰が淫靡なダンスを踊りだした。
 喘ぐミソラの耳もとに、ソロが口を寄せた。

「お前が欲しい。誰にも渡したくない」

 ずぐん、と胸の奥がざわめいた。
 下手な愛の言葉よりも強烈で、重い囁き。ソロの気持ちが籠った言葉に、涙が一筋こぼれた。
 だが、だからこそ。
「だったらなおさら、ベッドでして」

 ミソラの懇願に負けたソロが連れて行ってくれたのは、まだ家具が置かれた程度の殺風景な部屋。
 お互いに服を脱がせ合い、生まれたままの姿になる。そうしてまた口づけ合い、互いの熱を交換し合った。
「ちゅ……」
「ん……れろ……」
 キスは好きだ。互いの気持ちが繋がり合っているのが解る。だが、それだけではまだ足りない。ソロが口を離したのを見計らって、ミソラは口を開いた。
「あんっ、そ、ソロ、お願い……」
「……まだ何かあるのか?」
 二度目のお預けを食らってさすがに不服そうな顔のソロに、そっと頬に口づけてからお願い事を告げる。
「名前を呼んでほしいの。私の、名前」
 ソロの目が少しだけ丸くなる。こんな時のお願いらしくないと思ったのか、それとも今まで呼んでなかったのに気付いていなかったのか。
 さて相手の方は少し考えた後、「条件がある」と言い出した。
「何?」
「お前の気持ちを正直に答えろ」
「え……」
 さっきの言葉では足りなかったらしい。改めて言うのは恥ずかしいが、それでソロの気持ちが晴れるのならいくらでも言おう。
 ミソラはソロの顔をまっすぐ見ながら、正直に答える。

「好きよ。大好き」

 次の瞬間、ベッドに押し倒された。
 びっくりする暇もなく、秘部に二本の指を突っ込まれる。中でぐりぐりと動かされ、ミソラの身体が大きくよがった。
「あぅぅっ♡ ふぁっ」
 ぐちゅ、ぐちゃ、と浅いところを刺激される度、卑猥な水音が鳴る。体が震えるので、胸も誘うように揺れた。
 ソロがそんな胸を軽く舐めた。
「あんっ♡」
「誘ってるな、ミソラ」
「あぁ……♡」
 名前を呼ばれたことで、さらに快感が上がる。同時に指を引っこ抜かれたため、また秘部から潮が吹き出た。
 ひくひくと震える秘部。陰核もむき出しになり、雌の匂いが充満するそこに、ソロが口を付けた。
「あぁぁッ!♡」
 ぺろりと舐められただけでなく、軽く息を吹きかけられる。足をつかまれているので、快感が上手く逃がせない状態だ。
 さらに割れ目をなぞられて、とうとうミソラは軽く達してしまった。
「だ、ダメぇ……♡」
「じゃあ指だな」
「え、あッ、あぁッ!♡」
 再度指を入れられる。そっちじゃない。でもそっちも気持ちいい。どういえば解らず、ただただ喘いだ。
 空いた胸の方はもう片方の手で揉まれ、固くなった乳首をきゅっと引っ張られた。二つの敏感な場所を攻められ、快感が増していく。
「欲しいか?」
 ソロの申し出に何度も首を縦に振る。恥ずかしくて口には出せないが、身体はもう既にソロの肉竿が欲しくて仕方がなかった。
 ……のだが。
(な、なんか、怖い……)
 ちゅぷ、と肉竿を付けられた瞬間、何故かミソラの身体に悪寒のような何かが走り抜けた。
 欲しい。だけど、受け入れるのが怖い。
「あ……」
 駄目。やめて。心の中でアラームが鳴る。このまま受け入れたら、何かが壊れてしまいそうで怖い。

 じゅぷぷっ

「や……」
 入り込んだ肉竿が、徐々に奥に潜り込んでいく。そして

 くちゅ

「ああ゛あ゛あ゛あぁぁぁーーーッッ!!♡♡」
 最奥を突かれた瞬間、ミソラは完全に達した。